第1 はじめに
新春のお慶びを申し上げます。はじめまして。弁護士の吉田大輝と申します。
2016(平成28)年1月より,弊所において執務を開始致します。どうぞ,ご指導ご鞭撻の程,宜しくお願い致します。
さて,当職の個人的見解かもしれませんが,弁護士が実際に扱っている事件・問題が具体的にどのようなものであるか,あるいは,弁護士がその事件について,具体的にどのような仕事をしているのかなどについて,触れる機会に乏しい印象があります。そのため,「弁護士がどのような事件・どのような問題を扱っているのかがあまり分からず,弁護士にどの範囲まで相談をしてよいかどうかが分からない」という声も聞かれるところです。
そこで,今回は,極めて簡単ではありますが,弁護士がどのような事件を扱っているのかについて,改めてご紹介したいと思います。基本的な事柄であるため,既にご承知の場合はご容赦ください。なお,弊所ホームページ上の,「業務案内」メニューにおいて,「法人・団体・事業者様」向け,「個人」のお客様向け,そして,「刑事事件」について,それぞれ分類を分けて具体的に詳しく記載していますので,そちらも併せてご覧ください。
本稿のねらいは,「そうか,このような問題も弁護士に相談できる問題なのか」,あるいは,「このような問題こそ,弁護士に相談すべき問題なのか」というお気付きの一助となることです。また,弁護士といってもその活動内容は様々ですから,あくまでも以下は一般論であることを念頭に置きつつお読みいただけますと幸いです。
第2 事件の種類・弁護士の仕事内容
まず,弁護士が扱う事件は,大きく分けると2つあります。一つは,民事事件。もう一つが,刑事事件です。
1 民事事件
民事事件は3つの事件カテゴリーに分けられると思います。まず一つ目は,「お金」にまつわる事件であり,次に。「権利」にまつわる事件,そして最後に,「人」にまつわる事件が挙げられます。
⑴ 「お金」にまつわる事件
企業が,あるいは個人が,社会生活を営む上において,お金を借り入れ,お金を貸し付け,また,貸しつけたお金の回収を確実にするために担保をとるといったことは不可欠です。
これらは「契約」と呼ばれる約束によって行われますが,契約におけるトラブルなどが「お金」にまつわる事件の代表例です。契約の中には,企業が企業を買収するような契約(いわゆるM&Aなどと呼ばれたりもします。また,厳密にいうと契約という形式を取らない場合もあります。)のように,スケールの大きな事柄も含まれますし,日々,私達がスーパーやコンビニエンスストアで買い物をしたような場合も含まれています。企業や個人が,毎日,膨大な数の契約を締結しているのです。
目を移せば,交通事故などの例のように,「契約」を介在しなくともお金にまつわるトラブルなどが生じることがあります。このような例もまた,「お金」にまつわる事件です。
弁護士は,「お金」にまつわる事件について,以下の仕事を行います。すなわち,「契約」を締結する際に,事前にアドバイスをし,契約書を作成し,契約の相手方との交渉を行うなどします。そして,締結された契約内容を相手方が守らない場合,内容証明郵便を送付したり,裁判を行うなどして,契約内容の実現を図ります。さらに,「契約」に基づく場合・基づかない場合を問わず,「お金」を相手方に請求したり,逆に,請求されている場合に,代理人として交渉を行うなどします。
⑵ 「権利」にまつわる事件
日々,企業や個人が,土地や建物といった不動産を購入・売却したり,賃貸・賃借することがあります。また,その不動産がマンションなどのように,複数の人が登場する場合には,権利にまつわる人々の利害を特に調整する必要が生じます。このように,「権利」にまつわる事件として,不動産に関するトラブルが代表例として挙げられます。「権利」にまつわる事件は,「お金」にまつわる事件とオーバーラップすることが多いかもしれません。
弁護士は,このような「権利」にまつわる事件について,アドバイスをし,各種必要な措置を採り,依頼者の「権利」を守ります。
⑶ 「人」にまつわる事件
そして最後に,「人」にまつわる事件が挙げられます。イメージしやすい例としては,相続や離婚,離婚に伴い親権にまつわる事件などが挙げられますが,高齢の方が増加する現代においては,財産管理を内容とする成年後見制度の活用も増加しているところです。また,法人や個人においては,経済状況が悪化した場合に,民事再生や破産,任意整理などの必要が生じます。それらの事件もここに分類できるでしょう。さらに,いわゆる労使関係に関するトラブルもまた,「人」にまつわる事件といえるかもしれません。
弁護士は,これら「人」にまつわる事件について,まず第一に,法律相談として皆様のお話をお聞きしたうえで,代理人として交渉をしたり,各種申請を代理するなどします。
2 刑事事件
刑事事件とは,被疑者・被告人の権利を守るための活動をいいます。広い意味では,いわゆる少年(20歳未満)事件も含みます。
起訴された後,つまり被告人となってからはもちろんですが,最近は,起訴される前の,被疑者段階における活動の必要性が飛躍的に高まっています。一刻も早い身柄の解放や,不起訴処分に向けて,可能な限り早期からの活動が肝要です。
また,刑事事件のイメージからは少し離れるかもしれませんが,現代社会においては,いわゆるホワイトカラー犯罪と呼ばれるように,企業経営上の行為(貸付や,会社資金の使用など)に,(業務上)横領・(特別)背任などの犯罪の嫌疑がかかることがあり,このような場合も刑事事件に含まれます。
弁護士は,上記のような刑事事件について,被疑者・被告人の方のお話を充分にお聞きしたうえで,その声を最大限代弁するほか,各種法的手段を駆使し,被疑者・被告人の方の権利を最大限守る活動を行います。
また,事件に関する知識・ノウハウを用いて,企業に対し,事前に,刑事事件などの嫌疑をかけられないようにするためには,どのような体勢を構築すべきかといった,リスク管理方法をアドバイスいたします。問題が発生する前に,あるいは,問題が顕在化する前の段階で,その芽を摘んでおくことは極めて大事な視点です。弁護士は,そのお手伝いをいたします。
第3 おわりに
大変簡略でしたが,弁護士の扱う仕事をご紹介致しました。テレビ等でフィーチャーされるような,法廷における姿のみが弁護士の職務ではありません。むしろ,法廷における活動はその一部に過ぎません。
是非,気軽に弁護士にご相談ください。まず,誠意を持ってお話をお聞きいたします。その上で,最良の方法をご提案し,問題解決に向けた一助ができればと思います。
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