- ホーム >
- 新着情報
2021/05/11 | 50周年のごあいさつ |
50周年のごあいさつ
松坂法律事務所 代表弁護士 松坂徹也
私は1971年4月司法修習を終了し弁護士となりました。 弁護士となった当初は他の弁護士2名とともに共同事務所として開業したのですが、それから50年が経過いたしました。 50年という期間はとても長いですが、振り返ってみると弁護士になった日がきのうのことのようです。 50年前を振り返ってみますと、その当時の社会情勢、弁護士の業務内容、弁護士の社会における役割、依頼者と弁護士との関係は今とは全く違っていました。 そのころは、消費者破産事件や任意整理事件は全くと言っていいほどありませんでした。 クレジットカードの利用は始まっていましたが、みんな身の丈に合った生活をしていたのでしょう、カード使用によって債務超過に陥った人はほとんどいませんでした。 クレジットカードといえば「ウエストサイドストーリー」という1960年のアメリカ映画が思い起こされます。 この映画はロバート・ワイズ監督、レナード・バーンスタイン音楽のミュージカルで、音楽とともにダンスが出色ですが、内容的にも人間同士の醜い争いや人種差別問題を扱ったアカデミー賞に輝いた作品です。 この映画のなかでプエルトリコから移民してきた人達が歌う「アメリカ」という曲があり、アメリカ文化を賛美していますが、そのなかにアメリカではクレジットカードというものがあって、これで何でも買える、素晴らしいというセリフがあります。 1960年はすでにアメリカはカード社会だったのですね。日本では1971年でもまだカード社会になっていませんでしたが、その後まもなくしてクレジットカード利用による債務超過者、多重債務者、破産者が数多く出てくることになりました。 私が弁護士になったころは、社会でのモータリゼーションの様相が大きく変化していました。マイカーが一家に一台となり車社会になり始めた時期でした。 そして交通事故が多発するようになり、交通事故による損害賠償請求事件が多発するようになりました。私もそのような事件にかかわるようになり、多くの事件を処理することになりましたが、今でいう反社会勢力が被害者の代理人となって保険会社に押し入るという事態もたくさん起こっていました。 又、このころは公害事件も多くありました。カネミ油症事件やスモン薬害訴訟などでした。私もスモン薬害訴訟では被害者の代理人として事件に取り組んだものでした。 弁護士と依頼者との関係は、当時、弁護士会の相談センターというものがありませんでしたから、ほとんどが知り合いからの紹介でした。又、弁護士の数も全国で1万人もいませんでした。(現在は4万人を超えています。)従って弁護士を利用したい方にとっては、なかなかアクセスできないというのが当時の実情でした。 それから50年、色々な事件に関与し社会の動きや企業活動のあり方、人間同士の関係、夫婦、家族の関係というものに直に接することになりました。刑事事件で、被疑者や被告人の弁護を行うなかで事件の色々な背景を見ることになり、社会の奥深さを知ることもできました。 このようにして50年もの間、弁護士として仕事をしてきましたが、そのなかで世の中を垣間見ることができた気がいたします。又、仕事を通じて多くの方と知り合うことができました。その方々から頂いた御支援、御協力が私の血となり肉となり今日に至っています。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。 50年も経験してきたわけですから、相応に年をとってきましたが、年齢は単なる数字にすぎないと思っています。それをどのように考え、今後どのように生きていくか、行動していくかは本人次第で、人によってさまざまです。 あまり、この数字を意識することなく、今後ともこれまでにも増して体をきたえ、また頭脳もきたえ、心を豊かにし、又これまでに蓄積してきた経験を生かして今後も弁護士の仕事にまい進したいと思っています。 引き続きよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。 |